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JR北海道「単独では維持することが困難な線区」の理由・現状など発表

2017/09/10

JR北海道は「当社単独では維持することが困難な線区について」及び「当社のこれまでの経営改善の取り組みについて」という文書を公表した。「困難」「苦慮」といった単語が並ぶ悲痛な文書。内容は困難の度合い・理由・現状などが伝わりやすい丁寧なものとなっている。先に発表された線区別の収支状況、それよりも前、夏に発表された「持続可能な交通体系のあり方」という文書とをあわせると、現場では今年の大雨被害からの復旧作業に途方に暮れ、経営層は悲鳴を発っするしかないというような状況なのだと感じる。
『当社としましては特に、民間企業の事業として担えるレベルを超えた鉄道輸送サービスを持続的に維持していくためのコストを「誰がどのように負担すべきか」について、地域の皆様を始め国や関係機関を含めご相談をさせていただきたいと考えております。』とあるが、これは正論だろう。
JR北海道単独では維持することが困難な線区として13線区を挙げている。とくに「札沼線 北海道医療大学-新十津川」「根室線 富良野-新得」「留萌線 深川-留萌」は酷い。
国鉄をJRにしたのが国策であり、今となってはそのツケをJRに担わせるのは酷だ。民間企業なのだから、採算がとれなければその事業から撤収するのがむしろ正しい判断であって、年間10億を超えるような赤字路線を地域貢献のためだからと何路線も維持するのは正しい経営とは言い難い。
もちろんそこには人が住んでいる。数は少ないが廃線になると非常に困る人たちがいる。のんびり広大な北海道を鉄道で旅したいと思っている道民以外もたくさんいるし、毎年多くの観光客がそうしている。廃線になれば寂しい。
鉄道は太い血管であり、塞がればその先への酸素の供給は滞る。やがては人が住むのが困難になる。弱い立場の人たちから住めなくなる。それでもいいのか?いいとは思わないからJR北海道はここまで耐えている。
だがしかし、そろそろ、その「苦慮」をJR北海道だけに押し付けてもいられなくなってきた。北海道の自治体にも支えるほどの十分な力はないだろう。日本はそこまで地方分権が進んでいる国ではない。そういう意味ではJR北海道に押し付けるというよりも北海道に押し付けるのが限界に達したというべきかもしれない。今の日本であれば、ひとまずは国が動いて、少なくとも「ゼロ」に戻してあげる以外の方法はないのではないだろうか。ここまで来てしまっては。。。あるいはこのまま、北海道が、次は沖縄が、その次は高知か島根かあたりかが疲弊していくのを傍観しておくか。

JR北海道- Hokkaido Railway Company

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